おもふこと…≪甘雨さんの個展によせて…≫

よく、五行歌は誰にでも簡単にできる短詩ですよ、
と言われるのだか。

確かに、五行歌には俳句のように季語もないし、
短歌のような決まり事もない。

「口語体で五行で書くこと」

ルールはそれだけである。

簡単に詠むことができるような気がする。

だが、「いい五行歌」には、いくつか条件が伴うのだと思う。

まず、その人の言葉で書かれていること。
その人にしかできない表現であること。

これがとても大切なことだと思う。

それから…

必ずその歌の中にその人の「ホント」が隠れていること。

そして、言葉の一つ一つに愛情を籠めて、とても大切に選んでいる、
ということ。

甘雨さんの歌の中には、
それらがきちんと備わっている。

だから、こんなにも心に深く突き刺さってくるのだ。

書に至っては、なんの心得もない私があれこれ言うべくもない。

が、敢えて言わせてもらえるのなら、
彼女の書に向かう姿勢もまた、
五行歌と同じ、
常に真剣勝負だから、
こんなにも心が揺さぶられるのだろう。

今度は負けないぞ、
と思うのに、
ああ、また負けてしまった。

と、心地いい空気に、
結局、今日も酔わされてしまうのである。

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